ギリシア神話の神々の系譜を作っている時点で察していらっしゃる方は多いでしょうが、月読は気になることは調べる性質の人間に分類されます。 勿論、気力が続かない場合だってありますので、何でも調べるわけではありません。 が、星矢で二次創作を書こうと思い立った時、少なくともギリシア神話の知識と、ギリシャの気候・風俗をさわり程度は知っておかないと書けないなあ、と思ったわけです。 例えば、ハーデス編の冒頭。那智の台詞に「平和そのものの春の宵」というものがありますが、ギリシャの――すなわち地中海性気候における『春』って一体、何月でしょう? 主に参照したのは、ギリシャ滞在ルポや、地理の本、ギリシャ観光局の公式サイトなど。 で、折角調べたのですから、世間にも知って欲しいなあ、と思ったので、これを書いてみたわけです。 興味をもたれた方、二次創作を書いていらっしゃる方に、微細でもお役に立てば幸いです。 |
まずは、聖域の所在地、ギリシャの気候。 基本的に、地中海性気候で、山脈の内側は、中央ヨーロッパ気候だとか。 海岸沿いでは、夏は乾燥して気温が高く、冬は温暖で降水量が多いそうです。 北部山岳地方だと、冬は厳しく、夏は温暖。逆に南部の夏はかなり暑く、40℃を越えることもあるとか。 月読の読んだ滞在記は、アテネ近郊での話でしたが、その辺りですと、夏の陽射しは強いのですが、乾燥している為、直射日光さえ避ければ、肌の汗ばむ感覚さえも感じさせないそうです。 ただ、非常に乾燥しているので、水の携帯は必須だとか。ミネラルウォーターの瓶を持ち歩いているそうです。 滞在記の書かれた頃のアテネでは、大体、五月頃から降雨が稀になり、六月ではすっかり夏の日差しになる、のだそうです。 夏場は雨がまったく降らない為、下草はすっかり枯れ果てるそうで、むしろ、冬場の方が緑が多いのだとか。 その為、神話で語られる『デメテルが職務を放棄する期間』は冬ではなく夏のことだ、とする説もあるのだとか。 十月になると、ようやく雨の季節が来るのだとか。この短い秋と冬がギリシャでは雨の季節なのだそうです。 ただ、降る、とはいっても、日本の梅雨のようなしとしと降り続ける長雨ではなく、スコールのように短時間に激しく降り、さっと降り止むのだとか。 秋から冬の変化も急激だとかで、十一月頃に、ある日をさかいに急に寒くなるそうです。 また、日本とは違いギリシャでは、落葉は秋とともに去るものではなく、十二月頃、冬の深まりとともに落葉の季節となるそうです。 冬場は、ギリシャでも寒い朝には薄氷が張り、寒い午後には風花が舞い、寒い夜には霜が降りたり、時として積雪もあるのだとか。スキー場もあるそうですよ。 そうして、二月の半ば頃からアーモンドの花などが咲き始め、春の訪れを告げるのだそうです。 |
そういえば、ギリシャの暦って、ユリウス暦なんですって。――グレゴリー暦とどう違うんでしょうね(笑) 復活祭や、クリスマスから大晦日、新年はギリシャ人は家族で過ごすのが普通なんだそうです。 ギリシア正教のお国ですから、教会のミサに行き、夜は家で過ごすのだとか。 ギリシア正教といえば、ギリシア正教は十字を切るらしいんですけど、なんでも左手の親指、人差し指、中指を伸ばした状態で、額→胸→右肩→左肩、の順に十字をきるんだとか。 あと、成人すると誕生日よりネームデーを祝うほうに重きを置くそうです。 ネームデーというのは、自分と同じ名前(洗礼名)の聖人の日のこと。ほら、キリスト教徒ですから。 名前といえば、ギリシャには命名の仕方に慣例があって、第一子には男の子なら父方の祖父の名、女の子なら父方の祖母の名、第二子は同じノリで母方の祖父母、第三子は男の子なら父方の祖母の名の男性形、女の子は祖父の女性形……という風に決まっていて、同じ名前の人が多いんですって。 |
そういえば、本に載っていた、ギリシャ人の味覚には驚かされました。 ――総じて、日本人には信じられない程の甘党なんですって。 ギリシャ人が愛飲する煮出しコーヒー・グリークコーヒーの作り方が載っていたんですが――マグカップ一杯程のミルクパンに、大盛り一杯の粉末状のコーヒー豆と湯、そしてスプーン二杯半の砂糖……。あ、そうそう、ギリシャでコーヒーというと普通、グリークコーヒーで、ドリップ式のコーヒーは滅多にないそうです。あとはインスタントコーヒーのネス・カフェ。 菓子類の写真とかも載ってたんですが、見るからに甘そうな、粉砂糖をふりかけて真っ白なクッキーや、蜂蜜がたっぷり入ったクッキーが、スーパーとかで使われるような大型のワゴンにピラミッド状に積み上げられた様は……写真だけで、歯茎が疼きそうでした……。 そういえば、本で紹介されていたギリシャ料理は総じてオリーブオイルたっぷりでした。日本人でいうところの醤油感覚でギリシャ人はオリーブオイルを使うのだそうだとか。 あと、ギリシャの水は硬水ですが、ギリシャ人は普段から柑橘類を多く摂取するので、柑橘類が硬水の石灰質を分解してくれるとかで、問題はないそうです。 水道水は安全らしいですが、一般的にミネラルウォーターを使用しているんだとか。 味覚ばかりではなく、ギリシャ人の食事習慣も、やっぱり日本人とは違うみたいです。 まず、朝食は食べない。大概、コーヒーだけですませ、食べてもパンやクラッカーを軽くかじる程度。 そして、十時ごろに、仕事がてら軽くドーナツの類をつまみ、十三時頃にゆっくりと昼食を摂るそうです。 昼食は、普通自宅で手の込んだ料理を家族で食べ、午睡をとり、夕方から再び仕事に出かけるのだとか。 そして、夕食は遅く、二十一時頃。それじゃ、翌朝食べる気がしないのは無理もないでしょう。 |
あ、あと、ギリシャでは、街中で殴りあう光景を目にすることはないんですって。 互いの利害やプライバシーに絡む場合、激しく討論することはあるそうですが、暴力に訴えるのは、ものすごく軽蔑されることなんだそうです。 基本的にギリシャ人はマイペースで、自己主張は言論で、そして子煩悩な国民性。 これが、本を読んで感じた月読の結論です。 |
主な参照資料→『ギリシャ四季暦』『アテネ色の旅物語』(共に近藤まさたろ氏著、東京書籍刊) |
もっときちんと知りたい方は → 『ギリシャ政府観光局公式サイト』へ |
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