ま行
ムーサ達《ムサイ》 ムネモシュネとゼウスの娘達。
「山の女神たち」の意。芸術の女神達。詩歌を司り、詩人たちの守護者でもある。アポロンの従属神。
マケドニア地方、オリュンポス山の北方にあるピエリエ（ピエリア）に住む。ピエリエはオリュンポスから天降ってきた神々が最初に降り立つ場所でもある。
一般に以下の九人が、次の職掌を司るとされる。
　カリオペ（「美声」）：叙情詩
　クレイオ（「名声」「賛美する女」）：歴史
　エウテルペ（「喜び」「喜ばしい女」）：笛吹き
　タレイア（「歓声」「豊かさ」）：喜劇
　メルポメネ（「歌うこと」「女性歌手」）：悲劇
　テルプシコラ（「踊りの喜び、または、楽しみ」）：叙情詩か踊り
　エラト（「愛らしい」「愛らしい女」）：叙情詩か歌
　ポリュムニア（「多くの歌」「多くの賛歌」）：物真似か賛歌
　ウラニア（「天空」「天上の女」）：天文
異説として、アオイデ（「歌」）、ムネメ（「記憶」、メレテ（「実践」）というウラノスの三人娘説もある。
ミュージック、ミュージカル、ミュージアムなどの語源。
ムネモシュネ ガイアとウラノスの娘。ティターン女神《ティタニス》六柱の一柱。
「記憶」の意。記憶の女神。
メティス テテュスとオケアノスの娘。クウレ。
「思慮」「助言」「賢明」の意。思慮の女神。
ゼウスの最初の妻。
クロノスに飲ませる吐瀉剤を準備したり、と、ティタンマキア時にオリュンポス神族に助力した。
しかし、“最初に優れた娘を産み、その後に父親をしのぐ力と傲慢な心を持つ息子が生まれる”という予言があった為、己の王権の維持を望んだゼウスに飲み込まれてしまった。
海の一族であることから、おそらく水に変化したところを飲み込まれてしまったと推測される。
メノイティオス イアペトスとクリュメネの息子。
「そこなわれた力」の意。ティタンマキアにおいて、ゼウスの雷霆に撃たれタルタロスへと落とされた。
メリア達 大地に落ちたウラノスの血から生まれた、トネリコの女精達。
モイラ達《モイライ》 ニュクスが単独で産んだ娘達。ゼウスとテミスの娘という説もある。
運命の三女神。過去・現在・未来を司る。
個別名は以下の通り。
　クロト（「紡ぐ女」「紡ぐ者」）：過去を司る。英語のクロス（「布」）の語源。
　ラケシス（「割り当てる女」「運命の図柄を描く者」）：現在を司る。
　アトロポス（「曲げられない女」「不可避の者」）：未来を司る。
モモス ニュクスが単独で産んだ息子。
「不平」の意。皮肉・不平の神。神々への皮肉の代弁者であり、神々の批判者。
モルペウス ヒュプノスとニュクスの息子。オネイロス。
「造形者」「変化する人」の意。夢の神オネイロイの一柱であり、その中で最も力がある。人間の姿を模り、夢を見せる。
大きな翼で音もなく飛ぶ、あるいは、木の枝を持ち人の額に触って夢を見せる、とされている。
トロイア戦争においても、アガメムノンの夢にピュロス王ネストールの姿で現れ、アカイア勢の船出を促した。
ヒュプノスと混同視されることも多い。
鎮痛剤のモルヒネの語源。
モロス ニュクスが単独で産んだ息子。
「定業」「運命」の意。死の定業を司る。
諸河 オケアノスとテテュスの息子達。
世界中の川の河神。
以下、その一部を抜粋。
　エリダノス：エリダノス河神。
　アケロオス：カリュドンの町を流れるアケロオス河の河神。
　アイセポス：ミューシアの河神。
　アソポス：別項参照。
　イストロス：ダニューブ河神。
　イスメノス：イスメノス河神。アソポスとメトペーの息子とも。
　イナコス：イナコス河神。妹のアルゲイアを妻としている。イオの父。
　サンガリオス：小アジアのサンガリオス河神。
　シモエイス：トロイアのシモエイス河神。
　ネイロス：ナイル川河神。
　ハリアクモン：マケドニアのハリアクモン河神。
　ペネイオス：テッサリアのペネイオス河神。ダフネの父とも。
　マイアンドロス：小アジアのマイアンドロス河神。
　ラドン：別項２）参照。

ら行
ラドン １）ポルキュスとケトの末子。黄金の林檎の樹の番人。
２）アルカディア地方の河神。オケアノスとテテュスの息子。ダフネとメトペーの父とも。
リタイ ゼウスの娘達とされる。
「祈祷」の意。祈り、祈祷の女神。
アテが地上に追放された後、愚行を繰り返すようになった人間を、祈りによって救う為に地上へと遣わされた。
リモス エリスの息子。レテと共に父親は現時点では不詳。
「飢餓」「飢え」の意。飢えの男神。
レア ガイアとウラノスの娘。ティターン女神《ティタニス》六柱の一柱。
「大地」の意。大母神。
レテ エリスの娘といわれている。父親は現時点では不明。
「忘却」の意。冥府のレテ（レーテ）河の女神。この河の水を飲むと生前の記憶を忘れるという。
レト ポイベとコイオスの娘。
「見えざる者」「隠れる者」あるいは「女」の意。
ヘラの嫉妬により、太陽の照ったことのある場所ではお産をすることが出来ず、姉アステリアが化身したデロス島でなんとか出産をすることが出来た。
レルネのヒュドラ エキドナとテュポンの娘。
アルゴス近隣の沼沢地に住んでいた、九本の首を持つ蛇。その首を切り落とせば、切り口から新たな二本の首が生えてきたという。また、そのうちの一本は不死だった。
ヘラクレスに倒された。
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